研究
末梢血中の腫瘍細胞—全身状態との関係についての検討
石井 次男
1
,
小野 泰策
1
,
飯沼 博朗
1
,
桜井 浩一郎
1
Tsugio Ishii
1
1信州大学医学部産婦人科教室
pp.187-191
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203656
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はじめに
腫瘍細胞の末梢血中への遊離は,遠隔転移形成の可能性の問題との関連において重要な意義がある。しかし,血中遊離の腫瘍細胞がある程度多数でないと転移がおこらないことは動物腫瘍でたしかめられており1),おそらく腫瘍細胞が循環中に死滅してしまうためだろうといわれている(Moore19602))。またsleeping ageのながいものにたいして,その原因がしばしば生体の抵抗力によつて説明され,小林・竹内(1958)3)もヒト血清に抗癌性抵抗力があることを証明している。われわれは,下に述べるように一般状態の不良化した末期癌患者に流血中腫瘍細胞の検出頻度が高い傾向があることから,実験的に全身的一般状態と末梢血中への腫瘍細胞の出現ないし遠隔転移との関係について検討してみた。
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