薬の臨床
会陰創傷および乳房うつ積に対するアナナーゼ(Bromelain)の効果について
斎藤 元
1
,
山本 和人
1
,
吉田 順一
1
,
竹内 明美
1
Hajime Saito
1
1徳島大学産婦人科
pp.765-768
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203562
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はじめに
従来,分娩時の会陰裂傷および会陰側切開後の感染に対して主としてサルファ剤,または抗生物質が用いられてきた。なお同時に訴えられる局所の疼痛に対しては,これをやわらげるために和痛ならびに鎮痛を主目的とした各種の薬が用いられてきたことはいうまでもない。他方,産褥時の乳房の過度の緊満や乳房うつ積のための乳房痛に対する適当な治療法も見当らなかつた。
近年酵素製剤の開発はめざましく,なかでも蛋白分解酵素の臨床応用はその薬理作用の解明に先立つて普及し,すでにわが産科領域でもかなり広く応用され良好な成績が挙げられている。今回,山之内製薬株式会社の好意により,抗炎症作用および抗浮腫作用を有するといわれる植物性蛋白分解酵素アナナーゼ(Bromelain)を入手し,とくに産科領域における臨床的応用ならびに副作用に関し若干の検討を試みたので報告する。
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