私の座右書
恩師のような手術書
市橋 進
1
1東急病院産婦人科
pp.748
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203557
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診療第1主義のいわゆる診療機関に勤務している関係上,最も利用している書籍と問われればやはり手術書と答えることになろう。
昭和23年現日本医大石川正臣学長の教室に入門して,手術の手ほどきを受けた当時は,誠に物資不足の折柄で一般書籍と同様,医書手術書はほとんど手に入らず,石川教授の巧みな手術を拝見して筆記したメモが当時の貴重な唯一の座右メモであつた。石川教授は非常に手術が巧みでしかも迅速,その技術がまつたく卓越されていてその円熟された時期に教えを受けたことは生涯の幸せであつた。その教授の豊富な手術経験と技術知識を折り込んだ手術書を書き記して頂ければ産婦人科医にとつていか程卑益するところがあろうかと思われるが,多忙な職責につかれた今日無理なお願いかも知れない。
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