思い出の写真
恩師の思い出
加来 道隆
1,2
1熊本大学
2国立西埼玉中央病院
pp.242-243
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207357
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臨床医を志した私は学生時代内科に最も興味をもら,よく勉強もしたが,郷里で産婦人科を開業していた兄のすすめと好意で昭和3年4月同期生17名の中に加って,東大産婦人科教室に入局,副手の辞令を頂戴した。勿論無給である。かくも多数が入局したのは,安井修平助教授が欧州留学の直前で,帰朝後は臨床をやりながら研究もできるだろうという噂さが拡ったためであった。
教室には当時磐瀬雄一教授の下に安井修平助教授(留学中),佐伯誠一,岩田正道の両講師,医局長中山栄之助氏以下助手3名,副手15名がいたが,17名の新入局者で居場所は勿論,勤務分担の様子も大分変わった。新入副手(ネーベン)は助手や先輩副手の下に2人ずつ,分娩係,産褥—新生児室.婦人科手術患者室(3室)1,2等室,放射線係などに配置された。分娩係は3組で3日に1日の泊り,正午から翌日正午までの勤務であった。ネエベンの仕事はハウプトを手伝い,予診,一般検査,記録および病歴整理,手術時の麻酔助手や患者の股間での鈎持などであった。患者が多く,部署によってはとても忙しく,1年経てばハウプトになるので大いに勉強もしたが,暇な時にはテニスや野球もして結構楽しんだ。
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