特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム
新生児黄疸
新生児黄疸
岡本 義明
1
Yoshiaki Okamoto
1
1東京大学医学部小児科学教室
pp.132-135
発行日 1964年2月10日
Published Date 1964/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202984
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新生児および乳児期においては実にさまざまな形の黄疸を認めることができる。しかしながら幼若乳児の特徴として,この時期ではいろいろな因子が同時に働らいて黄疸を発現させていることが多く,黄疸相互間の鑑別もまた容易でないことも稀ではない(第1表)。私たちは新生児乳児期の黄疸を一応この表に示すように分類してみている。Iはいわゆる生理的黄疸で肝不全と溶血亢進とが相伴なつて黄疸を来たすものであり,IIは母子間の種々なる血液型不適合などに基づく過剰溶血によつておこる黄疸である。申すまでもなく,I, IIの型の黄疸に際して血中に増加するビリルビンは主として間接型である。次に主として直接型ビリルビンの増加をみる場合がいろいろあり,成人ではこれを更に閉塞性と肝細胞性とにわけることが多いようであるが,乳児ことに新生児期ではこの間の区別は決して容易ではなく,肝細胞性のものもしばしば狭義の閉塞性の形をとるので,むしろすべてを閉塞性あるいは閉塞型黄疸として一括し,その中に肝外閉塞性と肝内閉塞性または肝細胞性の黄疸があるというように分類し,理解した方がより実際的ではないかと思う。
本日は対象をこのような閉塞性の黄疸においてみたいと思うが,肝外閉塞性黄疸には肝外胆道閉鎖,特発性総胆管拡張症などがあり,肝内閉塞性黄疸にも表にあげてあるような各種の疾患がある。
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