特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム
分娩障害後遺症
新生児期異常所見と小児脳障害
安達 寿夫
1
,
伊藤 敏
1
,
赤松 信代
1
,
田上 三雄
1
Hisao Adachi
1
1東北大学医学部産婦人科学教室
pp.95-98
発行日 1964年2月10日
Published Date 1964/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202972
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I.研究目的
小児脳障害の原因として分娩障害の重要性は以前から注目されていたが,調査者・調査対象・調査方法などによりその結果には大巾な相違がある。産科関係者以外の人々による脳障害児のretrospectiveな出産歴調査では,産科的事項の調査方法が適切でなかつたりまたは母親の先入観などのため,分娩障害にその原因をあてはめる率が高く,反対に仮死出生児の事後調査などのごとき産科側からのprospectiveな調査は軽度のものが含まれるためと全体として限られた例が対象となるためおよび教育機関など整備された産院出生児の予後調査のため,産科因子による障害例を発見しがたくそのために対照と差を認めない報告が多い。
結局どの程度のものからどの位の率で,またどのような環境の分娩が障害をのこし,それが新生児期の他の因子とくらべ小児脳障害の因子としてどの程度の重要性をもつかという臨床上もつとも肝腎な点では各関係者をなつとくさせ得るような報告がほとんどない。
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