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臨床 臨床検査
日常簡単に行なえる血液型不適合妊娠のスクリーニング
A practically applicable screening test of blood type incompatible pregnancy
水谷 昭夫
1
,
羽根 周蔵
1
Teruo Mizunoya
1
1京都府立医科大学臨床検査部
pp.897-900
発行日 1963年11月10日
Published Date 1963/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202927
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はじめに
1939年Levin と Stetsonが,当時まだ発見されていなかつたRh因子(Rh式血液型は1940年Landsteiner と Wienerにより発見)による血液型不適合妊娠の臨床を観察して以来の20数年間,主として,欧米において研究を進められ,その有効なる治療法である交換輸血,すなわち人間の血の入れかえというドラマチックな手術をも簡単に行なえるようになつた今日,我々日本国内においてもようやくこの種の研究がさかんになり,習慣性流産,新生児の溶血性疾患,ひいては,一部脳性小児麻痺等の原因に対する有効な予防対策としての血液型不適合妊娠(以後不適合妊娠と略)の臨床検査が要望されるようになつてきた。我々日本国内においても不適合妊娠による不幸な事故が,今日迄にも相当数起こつていたと考えられるにもかかわらず,これに殆んど何の対策もなされなかつたのは,以下2つの理由からであると考えられる,すなわち, ① 不適合妊娠が,主にRh式血液型に限つて問題にされがちであり,Rh (—)という,いわば常に不適合妊娠の危険にさらされている婦人が欧米では全人口の15%という高率を占めるにもかかわらず,我が国での比率はわずか0.2%内外という低いものでしかなかつたこと。
② 不適合妊娠の臨床検査およびその治療対策が,非常に高価なものであるということである。
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