文献紹介
妊娠異常
pp.586
発行日 1963年7月10日
Published Date 1963/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202854
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35才婦人が急性腎不全の無尿で入院,死亡した。最終月経は34才12月5日。35才2月14日下腹痛・悪心嘔吐にて入院,妊娠3個月と診断さる。周囲炎のためペニシリン注。治癒退院。4月4日血性悪臭ある大量の腟分泌物あり,おそらく流産と思われたが12週にて自然に停止,22日下腹部のケイレン性激痛(陣痛様)あり,入院,1時間後壊死に陥つた胎児と胎盤排出,出血あり。Ergotrate (R)注,しかし数時間後シヨックに陥り血圧不可測。昇圧剤・輸液にて80/72,このようなシヨック18時間つづく。全く無尿,その後3日間は1日尿わずか20cc,25日BUN 150mg,血清K5.5mEq,レ線で後腹膜に血腫。無尿修復せず,人工腎臓透析。しかし透析後も依然無尿でBUN,Kはどんどん上昇するので,18日の入院期間に5回透析,浮腫,皮下出血,腹部膨満,子宮周囲痛,白血球増多,消化管出血,心窩痛,ついに肺炎・黄疸あらわれ死亡。剖険。子宮出血・流産は勿論だが,子宮静脈叢血栓形成,子宮筋層の血栓・壊死高度同時に両側腎皮質壊死生じたが,これは感染のためでなく,シヨックが長くつづいた為であろう。糸球体の変化から見てShwartzrnan反応は加わっていない。右肺動脈のmuc—ormycosisによる塞栓,右肺・左心室・胃のmucormycosis。
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