連載 MY THERAPY in series・9
破壊性胞状奇胎に子宮切開病巣剔除手術
高尾 直良
1
1長崎大学産婦人科学教室
pp.300
発行日 1963年4月10日
Published Date 1963/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202786
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破壊性胞状奇胎の診断がつけば子宮単純全剔が行なわれるのが普通であり,単なる胞状奇胎には内容除去術の行なわれるのが普通である。しかし時には単なる奇胎と破壊性奇胎の鑑別がつかない時がある。私の調査した結果でも破壊性奇胎の大半に先ず内容除去が行なわれ,その後しばらくして破壊性であることに気づいている場合が多い。従つて単なる奇胎と思つて掻爬した場合でもその掻爬内容物の組織検索はもちろんのこと一般臨床所見,Friedman反応の追求,Hysterosalpingography,BBT曲線の観察など種々の補助診断法を用いてChorioadenoma des—truens,あるいはChoriocarcinomaの早期発見につとめなければならない。Chorioadenoma destruensでは原則として子宮剔出を行なうべきであるが,若年で将来挙子を希望する場合にはChorioadenomaでは予後が良いだけにできれば子宮剔出を避けて子宮を保存したいと考える時があると思う。すなわち将来に妊娠の可能性を残すわけである。すでに三谷教授が発表している如く,私共はこのような希望を有する患者2例に充分な臨床検査を行ない開腹し,破壊性奇胎穿孔周辺部の子宮壁を病巣とともに一部切除し,さらに切開部より内容除去術を行ない子宮壁を再縫合し子宮を残して観察した。
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