Japanese
English
綜説
癌と内分泌—そのV—乳癌と子宮内膜癌
Some endocrinological aspects of cancer. No. 5.
渋沢 喜守雄
Kishuo Shibusawa
pp.193-202
発行日 1963年3月10日
Published Date 1963/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202763
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はしがき
前稿でのべられたように,Sommers (1955)の剖検成績にしたがえば,閉経後乳癌では内膜過形成(cystic hyperplasia,adenomatous hyper—plasia),ポリープ,内膜癌などの,長期estrogens刺激像が67%の頻度に見出される。同年令層の非乳癌婦人では,それらが27%であつて,この差は有意であるという。それを裏打ちするように,乳癌婦人の卵巣には,対照より有意に高率に,cor—tical stromal hyperplasiaが見出される。いいかえると,乳癌では,乳腺のみならず,内膜にもestrogens刺激にもとづく癌方向への変化が,高頻度に合併するということになるわけであろう。もつとも,Sommersのような検索は他に類を見ないので,この成績がどこまで普遍的でありうるか,ことに本邦婦人乳癌においても同様か否か,明言はできない。しかし,Sommers (1955)の内膜を精査した上記の乳癌148例のうちには,内膜癌が3例ふくまれ,その他にadenomyosis 10例,子宮腟部上皮にestrogens effect 60%が見られているから,Sommersの結論は偶然ではないと思われる。
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