文献抄録
産褥のphlegmasia,他
pp.352
発行日 1962年5月10日
Published Date 1962/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202619
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Pは重心疾患で箸者が文献から集めた47例のうち19例が死亡している。著者例は23才,第2回の産後7日で右,14日で左の股静脈・伏在静脈に血栓を生じ,左下腿は3時間のうちに変色し水疱形成,発熱,悪心あり,全身状態が悪化した。抗凝固剤・抗生物質を与え数時間後,左下腿皮膚温かくなり色回復しはじめた。しかし逐に死亡。剖検するに両側ことに左の股静脈は腸骨静脈から下部ずっと血栓で塞がり内腔なし。肺に高度浮腫。子宮内に膿汁あり。本症はこのように危険な合併症だが,静脈の閉塞で下肢全般の急性浮腫,ことに皮膚蒼白,まもなく青紫色で,冷たく,激痛を訴えて発病するので,この点に注意すれば早く発見できる。さらに急速に進行するものあり,また緩慢に経過するものあり。動脈脈搏は2/3症例で触れない。動脈閉塞この鑑別にはオッシロで動脈拍動を見るべきである。拍動のふれたくないのは浮腫と動脈スパスムとによるのである。血管壁の炎症は静脈周囲・アドベンチアついで選定する動脈に波及しうる。静脈血栓症では炎症は少くとも早期には全くないといわれる。したがつて静脈欝滞が主要な成因で,産科で見るPはそうしたタイプが多い。動脈のスパスムはあくまで二次的であるが,薬治によつても急には去らない。困難はあつても血栓剔除を行うのが効果的である。
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