Japanese
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臨床研究
東大産婦人科教室で行つている妊娠中毒症患者の尿蛋白定量法について(Kingsburyの変法)
Quantitative determination of urinary proteins now in use at the Department of Obstetrics and Gynecology, University of Tokyo School of Medicine
田中 敏晴
1
,
木川 源則
1
,
星合 久司
1
,
本間 恒夫
1
,
小林 博
1
Tosiharu Tanaka
1
1東京大学産婦人科教室
pp.563-566
発行日 1960年6月10日
Published Date 1960/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202221
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Ⅰ.緒論
妊娠中毒症の3大主要症状の中で,量的に正確に表現することが出来るものは,現在の処では血圧だけである。浮腫の程度の表現法に至つては,各人により区々であり,統一的な記載法はなく,混乱を極めている。尿蛋白に於いては,古くからズルフォサルチル酸による半定量法,エスバッハ又は末吉氏試薬による定量法が行われているが,夫々欠点を備えていて,それによつて表現された症状の程度は,かなりおおまかな程度にしか理解する事が出来ない。即ち,ズルフォサルチル酸法は簡単であり,且鋭敏であつて,本法によつて陰性であれば,ほぼ確実に蛋白なしと考えてよいが,陽性の場合に,類似反応を示す他の物質の存在を否定する必要があることと,程度を表現する方法が,全く検査者の感覚によるため,検査者の主観や,その時の感情等により,その判定に相当のずれを生ずることは否定出来ない。又,エスバッハ及び末吉氏法は24時間放置によつて結果を判定しなければならない不便さと,同一尿でも放置時間が正確に24時間でないと,その指示する高さが異つて来るという不正確さと,0.5%以下の微量の読みは不能という欠点がある。ここにおいて東大産婦人科教室では,最近Kingsbury氏法を原法として,その比濁標準液の代りに,光電比色計を用いて,目盛を読むという客観的な蛋白濃度算定法を実施している。
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