Japanese
English
臨床研究
内分泌疾患 ⅩⅢ— Cushing氏症候群における妊娠中毒症様症状
On the Cushing's Syndrome with Special Reference to the Toxemia of Pregnancy
田中 敏晴
1
,
内田 智
1
,
木川 源則
1
,
我妻 堯
1
,
星合 久司
1
Toshiharu Tanaka
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
pp.417-421
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201957
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I.緒言
現在妊娠中毒症の原因は未だ不明であつて少くとも単一の機序によつて解釈し得る様な簡単なものでは無く遺伝的,体質的素因の上に数多くの因子が働いて,かの複雑な病像を作り上げて居るのであると思われる。
数多くの原囚論の中で最近英国では胎盤又は子宮筋の血行障碍によるとするものが注目され同位元素による実験等も行われて居る。(Browne andVeale),即ちBrowneは胎盤には副腎その他に由来する昇圧物質を分解する酵素があり中毒症の際には胎盤乏血のためにこの酵素の働きが障碍されて高血圧が起るのであつて,又妊娠の際に副腎皮質が機能亢進を起して居ることも中毒症の高血圧,浮腫と深い開係があると述べて居る。正常妊娠及び中毒症の際に全身に起る変化としてのNaの貯溜傾向と浮腫,所謂妊娠腺といわれる皮膚腺条,インシュリンに対する感受性の低下,脂肪沈着,Osteoporosis,高血圧等と副腎皮質の機能亢進によつて起るCushing氏症候群(以下C症候群と略す。)の症状とが極めて類似して居る点が彼の説の一つの根拠をなして居る。
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