Japanese
English
薬剤の臨床
不妊症治療後妊娠例の切迫流産に対するNorlutenの使用成績
Clinical effects of Norluten on threatened abortion in a pregnancy following the treatment of ste rility
飯塚 理八
1
,
沢田 喜彰
1
,
磯野 光志
1
,
牧野 信二
1
,
高木 恒雄
1
Rihachi Iizuka
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室,家族計画相談所
pp.693-695
発行日 1959年8月10日
Published Date 1959/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202014
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Ⅰ.はしがき
最近,黄体機能不全が主因と考えられる不妊症や習慣流産が注目されている。これらの症例では,排卵後の黄体形成が不完全であるため,子宮内膜の分泌像の発育遅延や基礎体温曲線の高温相に低下・短縮がみられるほか,腟脂膏や頚管粘液の結晶形成に特有の所見が認められる。その多くは当然,妊卵の着床が阻害されるのであるが,たとえ着床すなわち妊娠が成立した場合でも初期の流産が発生する傾向が強い。従つて,こうした不妊症例や習慣流産患者については,妊娠成立後にも黄体ホルモン療法を中心とする積極的な流産予防の策が講じられねばならない。
こうした観点から,私共は,最近発表された一連の19—Norsteroidのうち17α—ethinyl−19—nortestosteroneを採択し,黄体機能不全を始め,不妊症治療前に妊卵の着床障害が予想された患者の,妊娠成立後に於ける切迫流産に使用して好成績を収め得たので報告する。
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