特集 産婦人科手術のポイント
VI.手術手技--産科
中期人工妊娠中絶術
中嶋 晃
1
1愛媛大
pp.1006-1007
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205314
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人工妊娠中絶は産婦人科医であれば誰でも行なわねばならぬことであり,各術者が手馴れた自分の方法を持つている。しかしこの手術は,簡単に見えても,危険を内蔵することはよく知られており,安易に事を運ぶわけにはいかない。いずれの手術でもそうであるごとく,中期妊娠中絶術でも,術前に患者の全身状態を知つておかねばならない。多くの臨床検査を無差別に行なう必要はもとよりないが,問診により既往歴,現症の有無をまず確認する。次に末梢血,尿検査,血圧測定などごく一般的な検査を行なう。現症があれば詳しい検査を加えるのはいうまでもない。
次に大切なことは術前の精密な内診である。妊娠子宮の大きさ,屈,傾,形状,外子宮口の形態などが十分把握されていなくてはならない。さもないと双角子宮の妊娠側を誤つたり,器械挿入の方向を誤つて穿孔を起こしたり,無理な器具の挿入をして頸管裂傷をきたしたりする。
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