Japanese
English
臨床研究
環境無月経について
Endocrine diseases XI. On the amenorrhea due to environment
唐沢 陽介
1
,
露口 元夫
1
,
塚田 一郎
1
,
白石 恕人
1
Yosuke Karasawa
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
pp.99-102
発行日 1959年2月10日
Published Date 1959/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201896
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Ⅰ.緒言
無月経が極めて多種多様な原因によつて惹起されることは周知の通りである。そのうち,全身的な重篤疾患の部分症状として現われるものは兎も角として,尿崩症,シモンズ氏病,末端肥大症等明瞭な障害が間脳一下垂体系に存在するもの,Stein-Leventhal症候群のように卵巣に機能異常があるもの,或は子宮に何等かの器質的変化の証明されるもの等を除いては,多くの症例においてその原因を明確になし得ない場合が少くない。従来,間脳性,下垂体性,卵巣性と云うが如くに,本症の原因を分類する方法が好んで用いられているが,これ等は概念的にのみ可能なものと云つても過言ではなく,個々の症例についてそのいずれに属するかを決定し得るとは限らないのである。
一方動物実験においては,間脳特に視床下部が,下垂体性腺系の機能維持に極めて重要な役割を果していることが立証され,人間の月経周期を自律的に営んで行く上にも,間脳の関与が常に必要なことが強調されるようになつて来た。かかる見地から,いわゆる環境無月経,戦時無月経,或は拘禁性無月経等と呼ばれる一連の月経異常が注目を集めるに至つたのである。少くとも中枢性の無月経を云々する場合,その典型的な病型としてこれ等の疾患は常に問題にされて来たのであるが,このような状態にある患者に対し,内分泌学的な検討を加えた者は決して多くない。
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