Japanese
English
臨床研究
内分泌疾患ⅩⅡ.—低エストロゲン性無月経について(Ⅱ)
On the Hypoestrogenic Amenorrhea
唐沢 陽介
1
,
大石 益光
1
,
杉本 毅
1
,
星合 久司
1
Yosuke Karasawa
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.297-301
発行日 1959年4月10日
Published Date 1959/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201932
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I.緒言
内分泌臓器のうち,いずれか一つに機能失調が起ると,他の内分泌臓器にその影響が波及して,やがてはいくつかの臓器に,機能の異常を来すことは,最近の研究によつてあらゆる方面より確認されるに至つた。卵巣機能に一次性の異常があると推定されている低エストロゲン性無月経においても,種々の内分泌学的失調が可成り高頻度に併発することが既に一部学者により証明されており,これ等の知見を治療面に取り入れようとするものもある。
著者等も月経異常患者に対し,種々内分泌学的検索を行つて来たが,低エストロゲン性無月経に関する知見を先に発表した(本誌13巻3号参照)。今回は,該疾患の際に甲状腺機能に見られる変化を検討したいと思う。これとは逆に甲状腺疾患(バセドー氏病その他)患者にSubclinicalな卵巣機能異常の潜在することが最近注目されており,卵巣機能と甲状腺機能とが緊密な関係を有することは疑う余地がない。そしてこの推定を裏書きするような事実は動物実験において又同時に臨床的にも良く知られており,研究業績の発表は数多い。しかし,その結果は必ずしも一致していない。尚研究の余地が大きく残されていることを物語つているのである。特に臨床的な実験成績には今后詳しい検討が必要だと思う。
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