Japanese
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特集 麻酔の進歩
産婦人科領域に於ける硬膜外麻酔の応用
Extradural anesthesia in obstetrics and gynecology
高橋 高
1
Takashi Takahashi
1
1国際親善病院産婦人科
pp.1049-1057
発行日 1957年12月25日
Published Date 1957/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201689
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Ⅰ.はしがき
産婦人科領域に応用される硬膜外麻酔Extra-dural Anesthesiaは,腰部硬膜外麻酔LumbalEpidural Anesthesiaと仙部硬膜外麻酔CaudalAnesthesiaとに区別される。此の両者の区別は針の刺入部が腰椎部であるか,仙骨裂孔であるかによるが,持続仙部硬膜外麻酔ではポリエチレンカテーテルを仙骨裂孔から5〜20cm椎骨管内を頭側に挿入するから,10cm以上の場合のカテーテルの先端は腰部硬膜外腔に達するので,単に持続麻酔の目的以外に腰部硬膜外麻酔と同じ目的で用いられる。
硬膜外麻酔をわが領域に応用した本邦の報告は宮1)−3),高橋4)5),藤森6)7)津野8),森本9)及び小松10)等の比較的少数に限られているが,漸次その真価が認められる傾向にある。殊に麻酔医が麻酔を管理することが困難と老えられるわが国の現状では,腰麻と略々同じ程度の準備で,腰麻に較べて高い安全性と確実性があり,時に血圧降下が見られることを除いては,腰麻に見られるような副作用が殆んどない硬膜外麻酔,就中仙部硬膜外麻酔がわが領域で広く用いられることが望しい。現在同法が一般に普及しない最大の原因は,その手技が十分に理解されていないためと考えられる。近年宮,高橋,恩地11),大川12),稲田13)及び岩月14)等が手技について述べているが,細部については必ずしも一致していない。
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