Japanese
English
臨床原著
妊婦血清鉄量と胎盤総Non-Hemin鉄量の消長
Fluctuations in pregnancy serum iron levels and total placental non-hemin iron levels
小川 仙一
1
Sen-ichi Ogawa
1
1東京大学医学部附属病院分院産科婦人科
pp.447-450
発行日 1957年7月10日
Published Date 1957/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201572
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
まえがき
胎児の貯蔵鉄,或いはHemoglobin合成に利用ざれる鉄等,胎児の生育に必要な鉄は他の栄養素と共に,胎盤の複雑な機構を通して母体から供給され,母体はそのために潜在性鉄欠乏の状態に陥ることが一般に知られているが,最近における放射性鉄の利用と,Non-Hemin鉄についての研究の進歩は,胎盤の鉄輸送に関する知見に1つの発展をもたらした。即ち,母体から胎児への鉄の供給は,従来母体赤血球が胎盤絨毛膜で溶血を起し,Hemoglobin分子が分解して,胎児へ輸送される鉄が出来ると想像されていたが,Pommerenke等1)の実験から,胎児鉄の源泉は母体血清鉄であると考えられ,それが何等かの過程を経て,胎盤を通過して胎児に移行するのでおるが,その際胎盤Non-Hemin鉄が関与しているらしい。Nyl—ander2)はラットにつき,銅直3)はモルモットについてこれの定量を試みているが,未だ人胎盤について遂月的消長を追及した報告を見ない。著者は妊娠経過に伴う母体血清鉄量と,胎盤総Non—Hemin鉄量の消長について実験を行つたので,その成績について報告する。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.