Japanese
English
綜説
診査切除の術式及び危険性について
On the technic and danger of surgical biopsy
関 繁雄
1
Shigeo Seki
1
1大村市立病院 産婦人科
pp.439-446
発行日 1957年7月10日
Published Date 1957/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201571
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まえがき
子宮頚癌の早期診断法として,多くの研究報告があるが,古くはSchiller(1928)の沃度反応,Hinselmann(1925)のKolposkopieあり,前者は沃度陰性と癌性と同意義ではないが病変の有無はこれにて見分けつき補助診断法としては簡単で価値がある。後者はその価値につき既に今迄に述べられている。最近石川22)の独乙に於ける細胞学的診断法と題する文献紹介にその価値を細胞学的診断と対比して述べられている。いずれにせよ実際上此の検査法は高価な設備を要し,且つ面倒であるのと,これのみでは確診のつかぬ処から近年特に用いられていると云う方法ではない。近くは正常組織でも癌組織でも絶えず表面より細胞を剥脱していると云う事実に基きこの細胞を腟内容中に発見せんとするPapanicolaou & Traut11)(1941)のvaginal smear methodがある。以来多数の追試発表があり,大いにその価値が認められた。特に子宮頚部の上皮内癌に関する研究は急速な発展を来し,之が早期検出の刺戟は頚癌の問題を最近著しく変えて来たと云うことは疑いない。然しこの方法も近時色々と批判が加えられ,水野34)35)のこれについての詳細な論文及び2,3の文献,論評にて,大凡本法についても終止符をうたれた様で,細胞学的限界を充分認識し本法を徒らに過少或は過大評価することなければ本法の価値は充分に発揮されると思う。
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