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特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患
高血圧症への覚え書
Note on hypertension
松本 修一郎
1
Shuichiro Matsumoto
1
1千葉大学医学部第二内科教室
pp.944-946
発行日 1956年12月15日
Published Date 1956/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201475
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依頼された題は「高血圧の診断」というのであるが,わたくしは教室のこの方面に関する研究(斎藤教授:最新医学:10巻:9号)を基として以下書くわけであるが,それぞれ担任研究者より詳しいデータがいずれ発表される次第であるから,ここにはそれを土台にわたくしのふだん考えていることを述べてみたい。
産婦人科領域の雑誌故「女性と高血圧」ということにふれねばなるまい。妊娠中毒症の場合は略すとして,内科的に女性における高血圧症は男性のそれに比して多少違うところがあるものであろうか。一般に男性より高血圧症は少いといわれる(教室平本氏等)。ところがこれを年齢別にみると,いわゆる若年者高血圧症は男性にくらべて少いようである(平本氏等)。ただし壮年者すなわち40歳代となると,決して男性の数に劣らない。若年者悪性高血圧症は殆んど女性にこれをみないように思う。しかし女性には妊娠・出産という大きい役目がある。これが中年以後の高血圧症と関係はないであろうか。わたくしは以前農村および都会のそれぞれ人口ほぼ相等しい県内のモデル地区を集団検診したことがある。その際妊娠・出産の有無さらにその回数と血圧の関連を観察したが,有意な結論をうるに至らなかつた。壮年以後の高血圧症については男性のそれに比し,病像に違いがあるかどうかは検討を要し,今後の研究を進めたいところである。
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