診療室
難病易療論及び頭血腫の快速治療
木內 幹
1
1木内研究所
pp.767-768
発行日 1955年8月10日
Published Date 1955/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201226
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この議論を立てる前に自分の味わつたことを鳥渡述べる。
余程前の大正5年の夏,危急の寸前,函館は姿見坂の峻坂を俥上から飛んだ時,右脚に3寸ばかりの裂傷,西村安敬君に毎日処置して貰つて一時助かつたが,其後がどうも捗々しくなかつた。西村君段々よく診たら,筒深部に骨膜と骨との間に血腫があつて,次第に大がる事が分かつた。熱は無い,湿布やザルベでやつても中々減腫しない。成るべく散らしたいと努力して呉れましたが,思う様に行かないで工合が悪い。3週後に切開しました。それからも時日を要したが,現在尚,2寸位の創痕を右脛骨面に残してる。当時治療を受けながら思つた。何とか血腫を切らないで旨く早く直す方法が無いかしら,私は本年75歳の不老人で不良人ですが俥—血腫—切開の三連語は今に頭を往来してる。
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