原著
妊娠時に見られる赤血球沈降反應促進現象の相関因子解析に関する研究—(第1報)妊娠時に於ける赤沈及び血液諸性状の妊娠月數による変動の確認
長尾 ミト子
1,2
1東京医科歯科大学医学部生化学教室
2東京鉄道病院産婦人科
pp.69-77
発行日 1955年2月10日
Published Date 1955/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201148
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本研究緒言
周知の如く赤血球沈降反応(以後赤沈と略)はその操作が簡便なる上に種々なる疾患乃至異常によつて鋭敏に支配されるので,Fahraeus1)以来極めて多くの追試によつてその事の確認はなされているがその機序については未だ不明な点が多い。
赤沈促進の種々の因子として従来Fibrinogen増加,Globulin増加,従つて血漿粘稠度の増進,赤血球減少,血色素係数の上昇等,又抑制的因子としてはAlbumin増加,Co2増加,赤血球増多従つて全血粘稠度の増進,血色素係数の減少等が挙げられて来ていたが,近来Tieseliusの電気泳動法による血漿蛋白分析法その他によつて血漿蛋白が正確に分析され得るに至つたのて,この赤沈促進の機序の解析に於いても,殊に血漿蛋白分屑との関聯についての赤沈促進の解析を検討しやうとする試みが,多くの学者により行はれ初めている。
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