原著
不妊症とカルドスコピー
林 基之
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.411-418
発行日 1954年7月10日
Published Date 1954/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201058
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まえがき
内科外科領域では,腹腔鏡が可なり古くから利用されて居るが,之を,小骨盤諸臟器の観察に用うることは,余り普及して居ないようである。之は婦人に対する場合,経腹壁の処置は,一種の手術という観念が持たれ,特に,神経質な日本婦人の場合は,種々な障碍にぶつかると思われる。同じ方法でも,患者を膝肘位として,経ダグラス窩の方法は比較的婦人に対する恐怖心が少くて済み,又この姿勢では,十分に空気が腹腔に入り,腸管は押し上げられて広い腔内で,自由に骨盤内諸臓器の観察が可能なのである。
余はダグラス窩穿刺の方があらゆる点から考えて合理的であり,不妊症の診断に,かくべからざるもので,直ちに,手術処置に走らず,十分,骨盤内諸臟器の解剖生理を見究めた上で,治療方針を定むべきであると考える。
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