症例研究
人工妊娠中絶術後子宮外胎兒遺残の1例
前田 一雄
1
,
黒松 秀一郎
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.275-277
発行日 1954年5月10日
Published Date 1954/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201030
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1.はしがき
子宮内に死亡した胎児が残留する場合,融解吸收・浸軟・ミイラ化・石児化等のように無菌的に変化する事もあるが,破水後に感染或は腐敗により胎児の内部が崩壊し骨骼丈が残留する事も時に見られる。その多くは胎児骨一部遺残で,飯島1),赤井2),岡垣3),杉山4)が頭蓋骨子宮内遺残例を報告しているが,殆ど全部の骨骼が残っていた報告は我が国では八木5),関6)の報告を見る丈のようである。以上は胎児骨が子宮内に遺残していた報告であるが,子宮外遺残の報告は我が国では未だ無いようである。
我々は最近妊娠4ヵ月の子宮内容除去術に際し子宮頸管の穿孔を起し,その後胎児骨が子宮外に遺残し,且つ頸管閉鎖を来した1例を経験したので報告する。
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