原著
メチレンプルー脱色檢査による人精子の活力に就て
高島 達夫
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.399-402
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200670
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
不妊夫婦の診斷,治療として男性不妊は重要な因子である。MazerとIsraelは不妊夫婦のうち40%,Michelsonは51%,Walterは50%,最近に於てMaclaneは38.2%,Lane-Roberts等は60%,Farrisは60%に於て多少とも男性側に不妊の原因があることを報告している。それ故に不妊夫婦に於て特に夫の精液を早期に検査する事は必要である。
精液の受胎能力を論するに當りMoenach1)(1939)は受胎能力と精子の活力は同意義ではなく受胎能力がなくなつても活力はあることがあり,活力の缺如は受胎能力の缺如を意味するが,その逆は必ずしも眞ではなく,精子の奇形の混在率が受胎能力を定めるのに重要であると云つている。然し乍ら活動精子によつて始めて卵管に達し卵に授精し得るのであるから,精子の活力が受胎能力の判定に重要な一因子であることは疑問の餘地はない。ところが精子の活力検査は比較的時間のかゝる検査であつて,その活力はJoel及びPolαck2)(1936)によれば1/4視野に分けたEhrlichのocular screenを用い顯微鏡により射精後1時間以内に精子の懸滴標本を作り,視野を横切る活動精子數とその速度を計算した後,更に時間毎に再検査しなければならない。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.