診療室
Demerol劑による無痛分娩
藤井 忠
1
,
角銅 洋
1
,
岩本 和人
1
,
淸瀨 好孝
1
1國立別府病院
pp.269-272
発行日 1952年6月10日
Published Date 1952/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200637
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緒論
Demerol劑とは1メチール,4フエニール,ピペリヂン,4カルボン酸,エチルエステルなる構造式を有し,我が國でもOpystam (田邊),Neo-mochin (日新化學)として發賣されている。本劑は最近米國に於て盛んに無痛分娩に應用され,其の藥理作用の優秀なことが報ぜられている。De-merol劑を無痛分娩に單獨で使用した報告にはボルチモーア,ユニオンメモリアル病院,ボストン産院,モントリオール,ロイヤル,ビクトリア産院,トロント公共病院,聖ジユステン病院等があつて,孰れも好成績報じ,我が國では伊達,三好等が追試している。余等は先に本劑をサドル麻醉法(ヌペルカィン使用)の補助麻醉として併用し滿足な無痛効果を得たが其の際児への惡影響を認めた。抑々無痛分娩は有痛分娩に比べて種々なる障碍を伴うもので,例えば新産兒假死,腹壓不全微弱陣痛,弛緩出血等があげられ完全理想的なものはないように思われる。先に報吾したサドル麻醉にしても腹壓不全,血壓降下,産後頭痛等の欠點があり,又操作の煩雑な點より一般に推賞出來る方法ではない。
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