原著
進捗外陰癌根治手術全身轉移を起した剖檢例
中野 裕雄
1
1泉橋病院婦人科
pp.261-264
発行日 1951年7月10日
Published Date 1951/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200505
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緒言
女子性器が癌腫の好發部位であることは一般の認める所であるかが,今日までの報告例にも明な如く其の大多數は子宮膣部,頸部及び體部癌であつて,外陰癌は卵管癌,腟癌に次で稀に見るところとされている。本症の頻度を見ると少數例に於る統計のためか諸家により區々であるが,最少1.4%(Jacofy)のから最大4.0%(Peham-Pacol)を占むるに過ぎない。女子外陰癌は1751年Morgagniにより初めて記載され,次でO.Frankl,E.Ke—hrer,Wittkopf,Rupprecht,Mattmuller,Schottlande r,Giesecke等の報告次ぎ,また本症の手術に關してはKehrer,Stoeckal,Rupprecht,Savare,Ma chen hauerの諸氏の報告がある。本邦に於ては白木,内藤,近藤,京極,星合等により臨床統計約研究が發表されているが,其の豫後,再發特に死因剖檢所見等に關する報告は内外を通じてあまり見ない樣である。余は次記の1症例につき手術より再發,全身轉移剖檢の全經過を觀察し得たので,其の要綱を報告し諸賢の御參考に供する。
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