原著
人胎盤絨毛内有核赤血球の出現とその意義
今尾 孝
1
,
加藤 一男
1
1東大分院産婦人科
pp.414-416
発行日 1950年10月10日
Published Date 1950/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200398
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緒論
人胎兒の初期造血は胎兒外,即ち胎盤乃至卵黄嚢に於て行われる。續いて胎兒の腹莖部及びその間葉組織一般に於て非限局的に行われ,眞に胎兒固有の造血樣式なるものは肝臟に於ける造血であり,この肝造血は三轉して,胎生中期に發現する骨隨造血にその造血の中心を讓り渡すのであると。猶この造血の三舞臺は原則として赤血球の造血が主要内容をなすと言われている。この様な造血様式の變遷に從い,胎盤完成期を境としての胎盤絨毛内循環血液中に於ける有核赤血球の消長は甚だ興味がある。又Ryerson(1)難波(3)等はこの出現率により,妊娠前半期に於ては或る程度妊娠月數の推定は可能であるとし,Javert(3),尾河(4)等はこの出現率により未熟兒,早熟兒,成熟兒を判別し得ると言う。私たちは主として人工妊娠中絶により得た胎盤,胎兒心臟,肝臟,卵黄嚢等に就き追試を行い興味ある結果を得たので報告する。
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