原著
所謂生活力薄弱兒の體重消長と哺乳量に就て(その2)
小澤 五一郞
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.319-325
発行日 1950年8月10日
Published Date 1950/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200375
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緒言
新生兒榮養を左右する哺乳量に關する研究は極めて多きも,本邦に於ける多數例の報告は廣瀬,志賀を以て嚆矢とし之に統計々算を適用せるは尾島,伊藤,衞藤,野瀬等にして哺乳量と授乳量を區別し詳細なる調査をなせるは衞藤なり,而して余は是迄余の所謂生活力薄弱兒と稱する如き體重小なる新生兒を取材しその哺乳量竝に授乳量につき詳細なる統計學的觀察あるを知らず又從來哺乳量研究の多くは取材例を初體重別,母の分娩回數別或は男女別等に分類調査せしも,之を正常,異常別に區分し兩者を比較檢討せるものを未だ見ざるなり.
次に新生兒期換言すれば新生兒の乳兒への移行期は奈邊にあるやの問題に關しては,その根據とする點により學者間に意見を異にし,藤森は血液像の所見より,木内は腔脂垢の所見よりその持續期間を提唱せるも哺乳量の見地より之を推定せるものあるを未だ知らざるなり.余は初體重2500g以下と云う體重小なる新生兒の哺乳量竝に授乳量特に哺乳量につき詳細に調査すると共に哺乳量なる見地より新生兒期を推定し興味ある結果を得たるを以て茲に報告する次第なり.
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