原著
妊娠,分娩及び産褥に於ける腹直筋及び肛門擧筋の離開に就て(その2)
高橋 茂
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.231-238
発行日 1950年6月10日
Published Date 1950/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200354
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
4.腹直筋及び肛門擧筋離開の解剖學的及び組織學的考察
1)解剖學的考察
(1)腹直筋の離開
腹直筋は岡島解剖學によれば起始は第5肋骨と第5,9,7肋軟骨,劍状突起及び肋劍靱帶であつて白線の兩側を鉛直に下る細長四角形の強大な前腹筋であり恥骨結節と恥骨結合との間の恥骨上縁に抵止し,3乃至4の腱畫により分たれている.
妊娠時に於て増大した妊娠子宮の壓力及び腹壓によつて,又非妊時或は男子に於ても腹水及び巨大腹腔腫瘍の際に受働的に伸展せられ,その緊張度を増加し遂に白線の部分より兩側に離開し,甚だしき際には妊娠子宮は皮膚,筋膜及び腹膜により被われるのみとなり所謂懸垂腹(Hängebauch)となり稀には妊娠子宮が兩側腹直筋の間隙より前下方に突出することすらある.(hernial protrus ion)(第13圖參照)
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.