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手術不能頸癌に對するコツト・クレーニッヒ氏手術と照射との併用療法
山田 鋼治
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1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.458-473
発行日 1949年12月10日
Published Date 1949/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200287
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子宮癌の治療法は手術及び照射とも著しく進歩したが,反面に種々の原因によつて治療の時期を失せる患者,又は適切な療法を受け乍ら再發によつて絶望的な状態に陷つてゆく患者が,全治者よりも遙に多いことは悲しむべき事實である.これ等患者の三大徴候である出血,疼痛,及び帶下は,患者は勿論のこと治療に當る醫師及び看護人にとつて實に容易ならぬ負擔である.出血は血液及び全身所見の惡化を招來するのみでなく精神的にも一大衝動を與え,疾病治療に對する光明を奪い豫後を更に惡化し,疼痛は不眠の原因となり病感を強化し,氣力の脱失を來たし,帶下は體液の消粍と惡臭による食思減退を招來し全身障碍の一因をなすものである.當教室に於ては手術不能晩期頸癌患者に對し,照射療法の他に疼痛に對する上部下腹神經叢切除術(Cotte氏手術—以下コ氏手術と略記す),出血及び帶下に對する子宮輸入血管結紮術(Kronig氏手術—以下ク氏手術と略記す)を併用している.その成績の一部は既に昭和18年と19年とに當教室員谷(勝生)によつて簡單に報告されている.
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