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トリコモーナス腟炎に對するカルバミジンの治療的効果
木下 武夫
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1恩賜財團濟生會産院乳兒院
pp.104-107
発行日 1949年3月10日
Published Date 1949/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200182
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Hoehneによつて,Trichomonas vaginalisに起因すると信ぜられる特異な腟炎即ちトリコモーナス腟炎が記載されて以來,難治な本症の治療に關して多數の藥劑が擧げられて居る.即ち昇汞・過マンガン酸カリ・マーキユロクロム・サリチル酸スプーマン・ヤトレン105等がその主たるものであるが,4—oxy−3—acetyl-aminophenyl arsin—saureを主藥とするドイツのDevegan,本邦のトコモニン・スチロガン等は中でも最も卓拔した効果を示すことは周知の事實である.しかし戰時中から本劑の入手は漸次困難となり,頑固なト腟炎の治療に手を焼いた私は本劑に代るべき他の藥品を鋭意物色中,たまたまカルバミジンが赤痢アミーバ,その他の腸管内寄生原蟲による諸疾患に對して優秀な治療的効果をもつて居ることに着目し,昨年昭和22年から本劑をト腔炎に對して試用して,その効果は見るべきものがあつた.この企ては昨22年秋,同劑の發賣元である三共株式會社の識るところとなり,更に昭和23年の臨床實驗には同社から本劑入手に關し多大の便宜を與えられた.以下は昭和23年度に於ける本劑の臨床實驗に關する報告である.
患者がなかなか常方の注文通りに續けて通院してくれぬため,利用出來る症例が意外に少くなつた上に,外來診療の多忙な裡に行つた調査であるから檢索上意に滿たぬ點が多々あることは寛容されたい.
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