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子宮脱に對するノイゲバウエル、レフート氏腟中央縫合術の經驗
富井 眞文
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1大津赤十字病院産婦人科
pp.211-212
発行日 1947年8月1日
Published Date 1947/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200101
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今次大戰の中頃より食糧不足の爲,國民一般の榮養が著しく低下し,種々の疾患が發生するに至つたが,婦人科領域に於て注目すべきものは,戰爭無月經及び子宮脱垂症である。元來子宮脱垂症は體質異常と密接な關係あるものであるが,最近に於ける脱出症の増加は,この體質異常に加ふるに,榮養低下に伴ふ,骨盤底筋肉,圓靱帶等子宮支持裝置の萎縮弛緩,脂肪組織の消失,腸内ガス發生による腹壓の亢進等の素因が加り,更に婦人が平素慣れない,激しい腹壓を加へる樣な重勞働を餘儀なくされた結果と思はれる。
子宮脱に對する手術々式は極めて多種多樣であるが,ハルバン,又はシヤウター氏の方法は將來妊娠の可能ある若年婦人,子宮の著しく萎縮した高年者には不適當であり,子宮の腹壁固定術ドレリー氏手術は榮養の著しく低下し,腹壁の弛緩膨滿せる者には不適當で,イレウスを起す危險もあり,且前2者は著しく不自然な方法である。最も合理的な方法は哆開せる生殖裂孔を縮小すると同時に,アレキサンダー氏手術により圓靱帯を短縮する方法で,子宮腟部延長を伴ふ場合は,これを切斷しシュツルムドルフの縫合を行ふ。余等は大部分の症例に本法を行ひ,手術後妊娠分娩せる者もあるが,1例も再發を認めない。
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