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子宮腺上皮の細胞學的研究
川中子 げん
1,2
1慶應義塾大學醫學部産婦人科學教室
2慶應義塾大學醫學部解剖學教室
pp.167-190
発行日 1947年8月1日
Published Date 1947/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200093
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緒言
1.子宮内膜に關する從來の研究對象と其缺陷
成熟期婦人の子宮内膜の研究は,1908年に於けるHitschmann及Adlerの周期性變化の發見を劃期として夥多學者の追試によつて長足の發展を招來したが,1912年に於けるR.Schröderの再檢討を以つて一旦は終止符を與へられた觀あつて其後大なる改訂は加へられず今日に及んだ。而して是等研究を通覽するに其殆んど全部は内膜組成の集合體(Komplex)を研究の對象としたものである。即ち内膜の最重要な構成分子である子宮腺に就ては細胞集團全體としての粗大な形態と機能とを總括的に觀察したのみで,腺細胞各個の微細構造を觀察した内外の業績は極めて少數である。換言すれば子宮内膜の形態及び機能に關した研究には,尚ほ缺陷があつて等閑に附し得ない一要素を殘したものである。從つて細胞學的研究によつて,既に完璧であると信ぜられるSchröder説に新知見を加へるは勿論,或は其一部に改訂を必要とすること無しとしない。私が本研究を企圖した所以も亦た此點にあるのである。
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