症例
遅延着床が疑われたホルモン補充周期による凍結融解胚移植後の卵巣妊娠の1例
平岡 毅大
1
,
原田 美由紀
1
,
平田 哲也
1
,
甲賀 かをり
1
,
平池 修
1
,
大須賀 穣
1
,
藤井 知行
1
1東京大学医学部産婦人科
pp.731-735
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103833
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要約
卵巣妊娠は異所性妊娠のなかでも稀である.今回われわれはホルモン補充周期による凍結融解胚移植後に卵巣妊娠に至り,腹腔鏡下卵巣部分切除術を施行した1例を報告する.症例は36歳1経妊0経産,排卵因子による不妊に対し当科で治療中であった.今回,周期Aでホルモン補充周期による凍結融解胚移植を施行し,妊娠3週6日に血清hCG 0.8 mIU/mLで妊娠不成立と診断した.続く周期Bもホルモン補充周期で二段階凍結融解胚移植を施行し,妊娠4週4日に血清hCG 41625.6 mIU/mLであった.経腟超音波断層法にて子宮内に胎囊が確認されず,右付属器領域に4 cm大の腫瘤性病変を認めたため右卵管妊娠疑いで腹腔鏡下手術を施行した.術中所見,病理所見より右卵巣妊娠の診断となり,血清hCG値と病理所見から遅延着床が疑われた.ARTにおいて妊娠不成立と診断した周期から続いて治療周期に入る場合,異所性妊娠や遅延着床の可能性を考慮し,間隔をおいて血清hCGを再検することが望ましいと考えられた.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.