増刊号 最新の不妊診療がわかる!―生殖補助医療を中心とした新たな治療体系
第2章 生殖補助医療とその手技
胚凍結―受精卵を効率的に安全に凍結する
凍結胚移植の内膜調整―自然周期・ホルモン補充周期・排卵誘発周期移植の概要と特質
向田 哲規
1
1広島HARTクリニック
pp.117-121
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210651
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▶受精後,胚の発達段階において最も適切な凍結保存時期を低温生物学的に考慮すると,それは胚盤胞であり,なかでも拡大胚盤胞が臨床成績の点で最も生存性が高い.
▶ガラス化保存融解後の胚盤胞の生存性確認において最も重要な特徴は,中心細胞塊(ICM)や栄養外細胞層(TE)の細胞形態と胞胚腔の再拡大である.
▶凍結保存および融解ステップと液体窒素内での保存は非生理学的状態であり胚の透明帯は硬化するため,融解移植する際には透明帯補助孵化法(assisted hatching)は必須である.
▶融解胚移植周期の子宮内膜調整法には,大別して排卵後の黄体から分泌される内因性ホルモンが子宮内膜作成に関与する排卵周期と,外因性ホルモン投与が内膜を作成するホルモン補充周期の2つがあり,その特徴を理解し選択すべきである.
▶黄体期子宮内膜機能不全の場合,適切な内膜の分泌変化が障害される可能性があり,それが着床のwindowのずれに関係するため,融解移植のタイミングを前後させ対応する必要がある.
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