増刊号 産婦人科当直医マニュアル―慌てないための虎の巻
II 婦人科編
1 「救急/時間外」の婦人科疾患
8.婦人科がん化学療法中の有害事象
横山 良仁
1
1弘前大学医学部産婦人科学教室
pp.45-48
発行日 2013年4月20日
Published Date 2013/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103328
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当直医へのcall
◆発熱によって来院する場合(好中球減少).
◆嘔吐を繰り返し,来院する場合(主に白金製剤による).
◆下痢で来院する場合(イリノテカンなどによる難治性の下痢).
◆呼吸困難によって来院する場合(間質性肺炎).
各種のがん治療ガイドラインの整理によって標準的化学療法の存在が定着してきたため,治療する産婦人科医は患者に抗がん剤の効果とともに有害事象を詳細に説明するようになった.患者用パンフレットの普及もあり,患者側も抗がん剤の副作用を理解したうえで治療に臨む体制が確立されてきた.したがって,有害事象によって休日や夜間に患者が病院を訪れる機会は減っているものの,患者側では有害事象なのか別の疾患の発生なのか不安を感じて,治療している病院に休日や夜間に駆け込み,産婦人科当直医が対応しなければない場面も想定される.
本稿では,婦人科がん化学療法中の有害事象のなかで,そのような可能性の高い症候を概説する.有害事象のなかでは,抗がん剤の過敏反応や血管外漏出も処置には緊急を要するが,これらは原則日中の化学療法中の発生であるため,本稿では割愛する.
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