特別企画 訪問看護の有害事象—事故、ヒヤリ・ハット、感染症はどのぐらい発生しているのか
訪問中、利用者に発生する有害事象
森岡 典子
1
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科ヘルスサービスリサーチ看護学分野
pp.232-239
発行日 2023年5月15日
Published Date 2023/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201986
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「医療安全」という考え方
「医療安全」の芽生え
1999年、肺手術と心臓手術の患者を取り違えて手術をした横浜市立大学附属病院事件や、看護師が消毒液とヘパリン加生理食塩水を取り違えて静脈内に投与し、患者が死亡してしまった都立広尾病院事件といった医療事故が発生し、マスメディアでセンセーショナルに報道されました。日本ではこれらを契機に医療安全についての社会的関心が高まりました*1。
折しも、米国においてもIOM(Institute of Medicine)の“To Error is Human”というレポートが発表された頃で、医療過誤により年間数万人の入院患者が死亡しており、人は誰でも間違うことを前提に事故が起きない組織としての体制づくりの重要性が提唱されたタイミングでした*2。
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