今月の臨床 絨毛性疾患アップデート─「取扱い規約」改訂をふまえて
絨毛性疾患の取扱い
5.存続絨毛症の取扱い
磯崎 太一
1
,
竹下 俊行
1
1日本医科大学女性診療科・産科
pp.647-653
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103099
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●胞状奇胎娩出後の一次管理中におけるhCG値の減衰パターンの判別線(discrimination line)のチェックポイントが5週(1,000 mIU/mL以下),8週(100 mIU/mL以下),24週〔カットオフ値(0.5 mIU/mL以下),従来は20週であった〕となった(「胞状奇胎の取扱い」p624図1参照).
●上記の判別線よりhCG値が上回る場合には,チェックポイントの5週あるいは8週を待たずに存続絨毛症の発症を疑う.
●胞状奇胎娩出後,16週を超えてもカットオフ値以上の場合にも24週まで待たずに存続絨毛症の発症を疑う.
●組織学的診断を欠き,臨床所見だけから存続絨毛症と診断される症例が続発症の大部分を占める.
●存続絨毛症は,臨床的に決められた疾患であるため,今回の改訂により病理学的分類から削除された.
●胞状奇胎娩出後,hCGがカットオフ値以下になった後に,新たな妊娠ではなくhCG値の再上昇を示す場合は臨床的絨毛癌である.
●測定は尿中hCGではなく,血中hCG(特に,1,000 mIU/mL以下の場合)を測定する.
●hCG値が低単位の場合には,phantom(false-positive)hCGや下垂体性hCGなどではないことを確認する必要がある.
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