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編集後記
岡井 崇
pp.506
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103067
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─瓦礫─
昨年の10月1日,東京都は東日本大震災で発生した岩手県の災害廃棄物(瓦礫)の一部の処理を引き受けると発表しました.その決定を知った私は嬉しさのあまり,猪瀬副知事にメールを送りました.「良くやってくれました,ご英断に心からの敬意を表します」.副知事とは“妊婦のたらいまわし事件”以来,たまにではありますが,交信しています.
反対者の論理 : 「瓦礫には放射性物質が含まれている可能性があり,それを我が街に受け入れることはできない.何故我が街なのか? 私達は子どもの将来を考えているのだ」.反論 : 「瓦礫に含まれる放射能は基準値より桁違いに低い.他の地域の一般ごみとそう変わらない.計測して高ければ受け入れなければ良い.地球上に住む人類は日常,低レベルの放射能を浴びながら生活している.地域によっては相当高い放射線量を常時被曝している.それよりも低い放射能をそんなに恐れる必要はない」.反対者の論理 : 「低レベル放射線被曝に関しては医学的なデータがない.どんなに低くても悪影響の可能性がある限り私は嫌だ.もし,子どもに癌が出来たら誰が責任を取るのだ」.反論 : 「そんな可能性は限りなく0に近い.が,0にはならない.だから,基準値がある.あなたの様な考え方をすると,人間は地球上のどこにも住めない」.
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