今月の臨床 卵巣がん─最新の治療戦略
分子標的治療薬の種類と作用機序
島田 宗昭
1
,
板持 広明
1
,
紀川 純三
2
1鳥取大学医学部産科婦人科
2鳥取大学医学部附属病院がんセンター
pp.946-953
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102733
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最近の分子生物学の進歩に伴い,がん細胞に特有の質的あるいは量的変化を有する分子を標的とする分子標的治療薬が開発されてきた.その標的は,血管新生・増殖因子およびその受容体,シグナル伝達系,DNA修復,転写制御因子など多岐にわたる.また,分子標的治療薬はその作用機序から抗体医薬(大分子化合物)とチロシンキナーゼ阻害薬などの小(低)分子化合物に大別される.すでに,肺癌や大腸癌などではいくつかの分子標的治療薬が保険収載され広く用いられている.一方,婦人科領域では臨床的に使用できる薬剤はなく,卵巣癌を主体に臨床試験が行われている現状にある.
本稿では卵巣癌に対して臨床応用が試みられている分子標的治療薬の種類と作用機序に関して概説する.
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