今月の臨床 卵巣がん─最新の治療戦略
初回治療
3.ファーストラインの化学療法
2)第3の化学療法薬の追加
堀内 晶子
1
,
塩沢 丹里
1
1信州大学医学部産科婦人科学教室
pp.878-882
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102722
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はじめに
わが国の卵巣癌(上皮性卵巣癌)による死亡数は1996年4,006人,2007年4,467人と明らかに増加傾向にあり婦人科悪性腫瘍の中で最も死亡数の多い疾患である1).このような予後不良の卵巣癌に対する治療において化学療法はきわめて重要な役割を果たしている.早期卵巣癌の治療はまず手術療法であるが,初期がんであっても再発リスクがある症例には化学療法を行う.また,進行がんに対しては手術による腫瘍減量術(debulking surgery)が不可能な場合,化学療法が主な治療法になる.現時点では卵巣癌の標準化学療法としてTC療法(パクリタクセル+カルボプラチン)が定着しているが,卵巣癌の予後を改善するためには化学療法の治療成績を改善することが不可欠であり,TC療法を超えるレジメンの探索が取り組まれている.本稿ではTC療法に加えて第3の薬剤投与が標準治療を上回る効果があるのかを解析した結果をまとめる.
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