今月の臨床 胎児心拍数モニタリング
胎児心拍数波形の用語と新しい定義―日本産科婦人科学会提言
岡村 州博
1
,
菅原 準一
2
,
佐藤 多代
2
1国家公務員共済組合連合会東北公済病院
2東北大学医学部産婦人科
pp.28-31
発行日 2011年1月10日
Published Date 2011/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102543
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なぜ用語・定義の改訂が必要であったか
日本産科婦人科学会は周産期委員会の提言に基づき2003年に,「胎児心拍数図に関する用語・定義」を改訂して会員に示したところであるが1),なぜ定義の改訂が必要であったかを最初に理解することが,その後の周産期委員会を中心としたFHRパターンに基づき臨床的な処置に対するアルゴリズムを作成している動きを理解するうえで必要なことと考える.
アメリカ産婦人科学会(ACOG)の動きを参考にしてみると,1995年にfetal distressを疑う所見があるときは胎児頭皮採血による血液pH(scalp pH)のチェックと羊水注入や子宮弛緩剤投与などによる“子宮内蘇生”を推奨し,さらにFHR patternの異常が改善しなければ決定から30分以内に帝王切開を開始するべきとしている2).また1998年にはfetal distressとして急速遂娩した児のほとんどは状態が比較的良好なことからfetal distressという用語は使用しない,その代わりにnonreassuring fetal statusという語を用いるとして3),おおむねこのrecommendationは受け入れられた(注 : 日本産科婦人科学会でも長年懸案だった「胎児仮死」に代わる用語として「胎児機能不全」を使用することに平成18年4月第58回日本産婦人科学会総会にて決定した).
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