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はじめに
子宮体癌の所属リンパ節は骨盤リンパ節から傍大動脈リンパ節まで広範囲に及び,郭清によって正確な臨床進行期決定が可能とされる.しかしながら,リンパ節の郭清は予後を改善しないというMRC ASTEC trial 1)やわが国からの傍大動脈リンパ節郭清により予後が改善されるというSEPAL study 2)など依然として治療的意義についての議論は続いている.郭清するかしないかというような考え方や高危険群をスコア化して郭清の対象群を抽出するというような考え方とは違ったアプローチとしてセンチネルリンパ節(SLN)の概念を利用した生検を子宮体癌に応用していくことが可能であれば非常に魅力的である.SLNとは腫瘍細胞が原発巣からリンパ管を通り,最初に到達すると考えられるリンパ節であり,臨床的には“最初に転移の成立するリンパ節”である.SLNでの転移の有無を検討し,転移を認めなければほかのリンパ節には転移がないということになり,系統的なリンパ節郭清は省略可能ということになる.また,系統的リンパ節郭清とは異なり摘出されるSLNは少数であり詳細に検索することが可能であるため,微小な転移の発見率が上昇し,治療の個別化につながっていく可能性も指摘され,検査そのものとしての有用性も無視できない.婦人科腫瘍においては,外陰癌では系統的リンパ節郭清を省略したSLN生検のみによる前方視的検討の多施設でのデータも報告されつつあり,子宮頸癌では,多施設共同での妥当性検証でも良好な成績が得られてきている.子宮体癌でもまだ検討が遅れてはいるものの徐々に報告が増加している.本稿では子宮体癌におけるセンチネルリンパ節生検の意義の検証の現状について当科のデータも含め概説する.
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