今月の臨床 子宮内膜症・腺筋症の外科的治療─機能温存をめざして
子宮腺筋症の機能温存手術
1.部分性腺筋症に対する保存術式
西田 正人
1
,
小曽根 浩一
1
,
市川 良太
1
,
高野 克己
1
,
新井 ゆう子
1
1独立行政法人国立病院機構霞ヶ浦医療センター
pp.1197-1201
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102445
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はじめに
子宮腺筋症の保存的手術が筋腫核出術と根本的に異なるのは,筋腫は正常筋層を圧排して発育するので,核出したのちの欠損部は圧排されていた正常筋層が戻ってきて充填されるのに対し,腺筋症は正常筋層に浸潤性に発育するため病巣を除去するとその部分の正常筋層も欠損する点である.
このような発育の違いから,腺筋症を筋腫のように切除できないばかりか,病巣切除後の子宮の形成も筋腫核出術後とは根本的に異なり,腺筋症病巣切除後に生じた子宮の大きな欠損部を修復して機能を回復させることは大変難しい.
腺筋症は後壁に発生する部分性腺筋症が最も多い.部分性腺筋症とは前壁は正常であることを意味しているので,後壁の病巣を除去したのちに前壁で子宮を形成することになる.
今回は最も一般的な後壁の部分性腺筋症に対する保存術式,われわれがtype I術式と呼んでいる手術について述べる.
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