今月の臨床 異所性妊娠
治療法の選択
1.腹腔鏡下手術の実際
明石 祐史
1
,
斎藤 豪
1
1札幌医科大学産婦人科学講座
pp.1071-1075
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102422
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
異所性妊娠(子宮外妊娠)※は種々の報告より全妊娠の1%程度に発生するとされる.不妊治療後には3.1%1)とその発生率が高く,なかでも生殖補助技術(assisted reproductive technology : ART)後には4~5%2)に発生するとされる.そのうち卵管妊娠は自然妊娠の98.3%,ART後の82.2%と異所性妊娠の多くを占め3),頸管妊娠,卵巣妊娠,腹膜妊娠例は稀である.近年,性感染症による卵管病変の増加,ARTの進歩などにより異所性妊娠は増加している.一方,高感度hCG検査薬の普及,経腟超音波断層法による診断技術の進歩によって,早期から異所性妊娠と診断し治療を行うことが可能となり,それに伴って破裂による出血性ショックを呈するような症例は減少し,腹腔鏡下手術,卵管保存治療,薬物化学療法といった治療法を選択する余地のある症例が増加した.また,産婦人科領域の腹腔鏡下手術の普及・進歩は著しく,異所性妊娠に対する手術療法では腹腔鏡下手術が第一選択となり得る症例が多い.本稿では主に卵管妊娠に対する腹腔鏡下手術について日本産科婦人科内視鏡学会ガイドラインや文献をもとに概説する.
※「ectopic pregnancy」の日本語訳として日本産婦人科学会用語委員会の見解に基づき,本稿では異所性妊娠という用語を用いる4).
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.