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編集後記
倉智 博久
pp.350
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102304
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渡辺謙が主演した映画「沈まぬ太陽」を見ました.山崎豊子の小説は,「不毛地帯」,「白い巨塔」など,社会性豊かで,重厚かつ時代とその背景を抉るような内容のものが多いのですが,この映画も見ごたえのあるものでした.最近の,2,000億円以上もの借入金が必要であるというJALの経営状況の深刻さを考えると,また一段と見ごたえのある映画に仕上がっていました.映画の最後の画面の,ケニアの自然,野生動物の存在感は圧倒的で,人間の営みの矮小さを心から思い知らされ感激しました.
私は,あのJALの事故で親戚を亡くしたのですが,ちょうど米国に留学中で,まったく日本国内の報道にも接していませんでした.映画を見てあの事故の深刻さ,実情と真実を改めて知りました.500人以上もの遺体が並べられた現場のすさまじさ,それを前にした家族の嘆きと怒り,あのような場面では加害者側であった日本航空側の心境もいかばかりかと思います.
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