今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診
子宮頸がん検診―普及をめざして
2.子宮頸がん検診受診率向上への取り組み―日本初の細胞診・HPV検査併用検診で受診率向上・高精度化・効率化達成
岩成 治
1
1島根県立中央病院産婦人科
pp.288-297
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102294
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はじめに
子宮頸がんは,原因・自然史・診断・早期治療法・予防ワクチンが確立され,予防・征圧可能な唯一のがん種となった.これを受け,日本以外の検診先進諸国は,子宮頸がん検診(以下,検診)の目標を死亡率低下ではなく子宮がん予防におき,妊孕能温存可能なCIN2,3検出を目的としている.また,費用対効果を常に考慮しながら改良に改良を加え,受診率80%以上(対象年齢は20~69歳までさまざま)を維持して検診の効果を発揮している.
細胞診・HPV検査併用検診(以下,併用検診)を実施している国々では,受診間隔を3~5年に延長している(表1).また,細胞診も液状検体,ブラシ採取,ベセスダシステムなどの改良を加え,精度管理に努力している1).
それに比較し,以前は検診先進国であったわが国であるが,今まで,がん登録で検診を検証することもせず,旧態依然とした検診体制に甘んじてきたため,受診率・受診内容・精度・効率ともに悪く,検診機能不全に陥ってしまっている.
島根県でも同じ状態であったため,何とかしなくてはという思いから,受診率向上・高精度化・効率化をめざして,国内で初めてHPV併用検診を行った.島根県モデル事業として,出雲市・斐川町の行政検診で施行したところ,予想以上に効果を認めたので報告する.
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