今月の臨床 ここが知りたい―PCOSの最新情報
不妊への対応
1.PCOSにおける排卵誘発法と問題点
1)経口薬
千石 一雄
1
,
佐藤 恒
1
,
宮本 敏伸
1
1旭川医科大学産婦人科
pp.157-161
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102272
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はじめに
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovarian syndrome : PCOS)は生殖年齢婦人の5~10%に認められ,排卵障害や不妊の最も頻度の高い原因である.その病態は,視床下部,下垂体,副腎,卵巣などの内分泌,耐糖能などの代謝異常が複雑に関連し,表現系も多岐にわたる疾患グループと位置づけられる.PCOSの排卵障害に対する治療は食事制限,運動などのライフスタイルの是正が基本であるが,排卵が誘起されない場合の次の選択肢としては,経口投与可能な排卵誘発剤が患者の利便性,コスト,副作用の点から推奨される.従来,クロミフェンが第一選択薬として長い間使用されてきたが,最近,インスリン抵抗性改善薬,アロマターゼインヒビターの有用性が報告されている.本稿では各種経口薬による排卵誘発治療の現状と問題点を現在のエビデンスに基づいて概説する.
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